S1:自分の情報体系を構築する
AIが自分を定義する前に、自分で自分を定義しておく。
このスキルで手に入るもの
Section titled “このスキルで手に入るもの”自分の価値観・判断基準・考え方の軸を、自分のPCに蓄積・管理できる状態です。AIを使って自分の思考を強化できる体制が完成します。
なぜ必要なのか
Section titled “なぜ必要なのか”自分で考えているつもりでも、実はAIのすすめ通りに動いてしまっていることがあります。
おすすめされた情報を受け取り、提案された答えを選ぶ——これが積み重なると、「自分の考え」と「AIの提案」の境界がわからなくなります。
まず自分自身のデータを自分で持つことが、すべての出発点です。
方法論:Ontologyシステムの構築
Section titled “方法論:Ontologyシステムの構築”S1は「何かを覚える」スキルではありません。自分の思考を記録・分析・更新し続ける仕組みを自分のPC上に作るスキルです。
基本の考え方:ホワイトボックス化
Section titled “基本の考え方:ホワイトボックス化”多くのAIアプリは「ブラックボックス」です。何が起きているか見えない。
S1が目指すのはその逆——自分のデータがどこにあり、AIが何をどう分析しているかが全部見える状態です。データはすべて自分のPC上のファイルに置きます。クラウドサービスが終了してもデータは手元に残ります。
ステップ1:ツールを準備する
Section titled “ステップ1:ツールを準備する”フォルダを作る前に、2種類のツールを用意します。
① IDEアプリ(ファイルを編集・管理するアプリ)
MDファイルの作成・編集に使います。おすすめは以下の2つです。
| アプリ | 特徴 |
|---|---|
| Cursor | 無料で使えるIDEアプリ。Claude Codeとの連携がしやすい |
| Antigravity | GoogleのIDEアプリ。Gemini Antigravityとセットで使える |
MDファイルは自分で直接書く必要はありません。AIに「このテーマで概念ファイルを作って」と依頼すれば、AIが書いてくれます。
② AIアプリ(ファイルの中身を作る・分析する)
| AIツール | 特徴 |
|---|---|
| Claude Code | ファイルの分析・Ontology更新・レポート生成が得意 |
| Gemini Antigravity | Google Oneの契約1つでAntgravity IDEとまとめて使える。コストを抑えたい場合におすすめ |
どちらを選んでも構いません。Antigravityは、IDEとAI(Gemini)が1つのGoogle One契約でまとめて使えるため、導入コストを抑えやすい選択肢です。
フォルダ構造をつくる
ツールの準備ができたら、自分のPC上にフォルダを作ります。
最初は、S1に必要な最小構成だけで大丈夫です。
Ontology-workspace/ ├── 01_raw_inputs/ 音声メモ・走り書きの記録 ├── 03_ontology/ │ ├── concepts/ 概念ファイル(1テーマ = 1ファイル) │ ├── people/ 人物ファイル(1人 = 1ファイル) │ ├── organizations/ 組織ファイル(1組織 = 1ファイル) │ └── relations/ AI-Agentが整理する関係性 └── 05_action_log/ 日ごとの行動記録S1で最初に作るのは、自分の思考・人物・組織・概念・行動が残る場所です。これだけあれば、AI-Agentに読ませて自分のOntologyを育て始められます。
以下は、SOVREN FrameworkをS9まで履修したときの完成形です。最初から全部作る必要はありません。S5以降で財務データ、S6以降で外注・組織管理、S8以降で資本計画や資産管理が増えていきます。
Ontology-workspace/ ├── 01_raw_inputs/ 音声メモ・走り書きの記録 ├── 02_structured_logs/ 整理されたセッションログ ├── 03_ontology/ │ ├── concepts/ 概念ファイル(1テーマ = 1ファイル) │ ├── people/ 人物ファイル(1人 = 1ファイル) │ └── relations/ 概念同士のつながりを記録 ├── 04_finance/ 財務データ(S5・S8で詳しく設計) │ ├── monthly/ 月次収支データ(MoneyForward/FreeeのMD変換ファイル) │ ├── assets/ 総資産・負債の記録 │ ├── investment/ 投資実績の追跡 │ ├── capital_plan/ 長期資本計画(S8 STEP 1) │ │ ├── simulation/ 20年シミュレーション(AI生成) │ │ │ ├── latest.md 最新版(上書き更新) │ │ │ └── archive/ 過去バージョン(比較用) │ │ ├── allocation_rules.md 振り替えルール(人間が書く生データ) │ │ └── review/ 定期見直しログ(YYYY-MM.md) │ └── hedge/ リスクヘッジ設計(S8 STEP 2) │ ├── portfolio_map.md 全アセット一覧・本業との相関スコア │ └── assets/ アセットクラス別設計書(1クラス=1ファイル) ├── 05_action_log/ 決めた行動とその結果 ├── 06_outsource/ 外注案件の管理 └── 07_research/ AIリサーチ結果の蓄積このフォルダが、自分の頭の中の地図(Ontology)を外に出したものになります。
ステップ2:思考をインプットする(Data層)
Section titled “ステップ2:思考をインプットする(Data層)”毎日・毎週、自分の思考を 01_raw_inputs に記録します。
やり方(例):
- スマホで音声メモを録音する(考えたこと・気づいたことを話すだけ)
- WhisperなどのSTT(音声→テキスト変換)アプリでテキストにする
- Google Drive経由でPCの
01_raw_inputsフォルダに自動保存する
BSシートで書き出す
Section titled “BSシートで書き出す”音声メモだけでなく、手書きのBSシート(Brain Stormingシート)に書き出してから、あとで音声やテキストにしてもOKです。
BSシートの作り方は簡単です。
- B5サイズのルーズリーフを用意する
- 紙を縦に二つ折りする
- 9センチほどの幅の、細長い罫線ノートとして使う
使うときは、考えたいトピックを一つ決めます。たとえば「自分の強み」「今やるべき事業」「なぜこの市場に可能性を感じるのか」などです。
トピックを決めたら、箇条書きで上から一気に書いていきます。途中で手を止めず、うまく書こうとせず、思いついたことをそのまま下まで出します。
テーマ: なぜAIPスクールを広げたいのか
- AIを使える子を増やしたい- でもAIに答えを出させるだけでは危ない- 自分で判断できる子を育てたい- 保護者は「AIが怖い」と思っている- だから安全性や法教育もセットにしたい- 点数が上がることも大事- でも本当は、学び方を自分で持てることが大事BSシートは、きれいな文章を書くためのものではありません。自分の中にある考えを、検閲せずに外へ出すための道具です。書き終わったら、スマホで写真を撮る、音声で読み上げる、AI-Agentに渡してテキスト化するなどして、01_raw_inputs に保存します。
「正しく書こう」とする必要はありません。とにかく出すことが重要です。
ステップ3:概念ファイルを作る(Logic層)
Section titled “ステップ3:概念ファイルを作る(Logic層)”インプットをもとに、03_ontology/concepts/ フォルダに概念ファイルを作ります。
1ファイル = 1テーマ。たとえば:
concepts/ ├── 自分の強み.md ├── 市場の選び方.md ├── 意思決定の基準.md └── 苦手なこと.md概念ファイルに書くこと:
- このテーマについて今どう思っているか
- 自分のモチベーション・理解度(状態)
- 関連する出来事・判断の記録
AI-Agentを使ってMDファイルを作成・加筆する
Section titled “AI-Agentを使ってMDファイルを作成・加筆する”概念ファイルは、手作業で一から書くよりもAI-Agentを使って作成する方が望ましいです。MDファイルには、見出し、タグ、関連概念、人物、組織、更新履歴など、多くの構造情報を差し込む必要があります。これを毎回手で整えると、記録すること自体が重くなり、継続できなくなります。
まずはAI-Agentに、何を作りたいかをざっと伝えます。
「自分の市場選定の考え方」について、concepts用のMDファイルのたたき台を作ってください。関連しそうなタグ、関係する人物・組織、今後追記すべき論点も入れてください。重要なのは、作ってもらったMDファイルを必ず全部読むことです。分からない言葉、しっくりこない表現、自分の感覚と違う部分があれば、そのまま残さず、AI-Agentに分かる言葉へ書き換えてもらいます。
この表現は自分の言葉ではありません。もっと日常的な言い方に直してください。
この部分は意味が分かりません。具体例を入れて、何を言っているのか分かるようにしてください。読んでいないMD、意味が分からないMD、自分の言葉になっていないMDは、Ontologyの中ではゴミになります。ディレクトリに残さない、増やさないことが大事です。
たたき台を読んだら、それに沿って、今の自分が考えていることをAI-Agentにどんどん追記・書き直ししてもらいます。
このファイルに、いま自分が考えていることを追記してください。
- 自分はこの市場に可能性を感じている- 理由は、既存プレイヤーがAIを使えていないから- ただし、現場の人に技術用語で話しても伝わらない- だから「作業が30分短くなる」のような言葉に変換する必要があるAIが作る文書は、基本的に既存のMDや一般的な知識をもとに、それらしく組み立てられます。そのため、AIだけで作った書類は、見た目は整っていても実効性を持たない場合がほとんどです。
Ontologyに価値を持たせるのは、今の自分が本当に考えていること、迷っていること、判断したことです。AI-Agentは清書係・構造化係として使い、自分の思考をどんどん追加していきます。
ステップ4:行動を記録する(Action層)
Section titled “ステップ4:行動を記録する(Action層)”05_action_log に、日にちごとに自分が行ったことを記録します。
行動ログは「AIが提案したことを実行したか」だけを書く場所ではありません。思考、資料作成、MTG、リサーチ、メール、管理業務、移動、発信など、その日に自分が実際に使った時間を記録します。
ファイルは月ごとに作ります。
05_action_log/ ├── 2026-06.md ├── 2026-07.md └── YYYY-MM.md月別ファイルの中では、1日を1ブロックとして記録します。
---month: 2026-06updated: 2026-06-05---
# アクションログ 2026年6月
---
## 2026-06-05(金)
> 稼働: 5h | 主要事業: SOVREN Framework, AIPスクール
| 時刻 | 種別 | 事業 | 内容 | object_id | 成果・メモ ||------|------|------|------|-----------|-----------|| 09:00-10:00 | 思考 | SOVREN Framework | オープンソース公開方針を整理 | `SOVEREIGN_Framework` | スクール固有技術ではなく、公開Frameworkとして広げる方針に決定 || 10:00-12:00 | 資料作成 | SOVREN Framework | Manifestoページのたたき台を作成 | `SOVEREIGN_Framework` | 原典サイトのトップメッセージを作成 || 13:00-14:00 | MTG | AIPスクール | 保護者向け体験導線を検討 | `AIPスクール` | 90分体験セッションを入口にする案を整理 |記録する項目
Section titled “記録する項目”| 項目 | 書くこと |
|---|---|
| 時刻 | 09:00-10:30 のように時間帯を書く。不明なら概算でよい |
| 種別 | 思考、資料作成、MTG、インプット、コミュニケーション、管理業務、移動、開発・実装、発信など |
| 事業 | どの事業・プロジェクトに関係するか |
| 内容 | 何をしたかを一文で書く |
| object_id | 関係する人物・組織・概念のOntology IDを書く。対象がなければ — |
| 成果・メモ | 何が決まったか、何を作ったか、何に気づいたかを書く |
大事なのは、「やったこと」をただ並べることではありません。あとでAI-Agentが読んだときに、どの行動が、どの人物・組織・概念・意思決定につながっているかが分かるようにすることです。
やった・やれなかった・別のことをした——どれでも記録します。「やれなかった理由」もデータになります。日ごとの行動ログが残っていると、AIはあなたの思考パターン、時間の使い方、先延ばしの癖、成果が出やすい行動を分析できるようになります。
ステップ5:概念同士のつながりを記録する
Section titled “ステップ5:概念同士のつながりを記録する”概念同士のつながりは、自分で一つずつ手作業で記録するのではなく、AI-Agentにお願いして整理してもらいます。
概念ファイル、人物ファイル、組織ファイル、アクションログが増えてくると、自分では気づいていない関係性がたくさん出てきます。たとえば「自分の強み」が「市場の選び方」に影響していたり、「苦手なこと」が「外注する業務」につながっていたりします。
こうした関係性を、AI-Agentに読ませて 03_ontology/relations/links.json や関係性マップに整理してもらいます。
マイフォルダ全体を見直して、人物・組織・概念・アクションログのつながりを整理してください。
特に以下を見つけてください。
- 同じテーマに関係している概念- 特定の人物や組織と結びついている概念- 行動ログから見える、継続的な関心や意思決定のパターン- links.json に追加した方がよい関係性- 既存の関係性で古くなっているものおすすめは、週1回または月1回、AI-Agentにマイフォルダ全体を見直してもらうことです。フォルダ全体を読み直し、マップとつながりを再構築してもらうことで、自分の頭の中の地図が少しずつ精密になります。
ただし、Agentが提案した関係性も必ず確認します。しっくりこない関係、意味が分からない関係、今の自分の感覚と違う関係は、そのまま残さず修正します。関係性マップはAIが作るものではなく、AI-Agentと一緒に育てるものです。
ステップ6:Ontology全体を分析する
Section titled “ステップ6:Ontology全体を分析する”ステップ1〜5で、インプット、概念ファイル、行動ログ、関係性マップが少しずつ蓄積されます。ここまで揃ったら、AI-AgentにOntology全体を分析してもらいます。
これは単なる「AIに相談する」ではありません。自分が残してきたMDファイル、日々の行動、人物・組織・概念のつながりをまとめて読み直し、今の自分の判断軸を再構築する作業です。
マイフォルダ全体を読んで、S1の観点からOntology全体を分析してください。
見てほしいこと:
- いま自分が繰り返し考えているテーマ- 行動ログと概念ファイルの間にあるズレ- よく登場する人物・組織・概念- まだ言語化できていない判断基準- 古くなっているMDや、統合した方がよいMD- 次に作るべき概念ファイル- 次の1週間で取るべきアクション分析結果は、必ず読みます。分からない部分は、分かる言葉に直してもらいます。違和感がある指摘は、AI-Agentに理由を聞いたり、自分の考えを追記して修正します。
このステップの目的は、AIに答えを決めてもらうことではありません。自分が残した情報を材料にして、AI-Agentと一緒に自分の判断軸を更新することです。
| ツール | 用途 | 費用 |
|---|---|---|
| Cursor(エディタ) | ファイルの編集・閲覧 | 無料 |
| Claude Code CLI | AI分析・Ontology更新 | 月約2,000円 |
| ChatGPT Plus | 日常の壁打ち・質問 | 月約2,000円 |
| Google Drive | スマホ↔PC間のファイル同期 | 無料 |
| Whisperベースのアプリ | 音声→テキスト変換 | 無料 |
サイクルのまとめ
Section titled “サイクルのまとめ”思考・発言・気づき ↓音声メモ → テキスト化(01_raw_inputs) ↓概念ファイルに整理(03_ontology/concepts) ↓行動を記録(05_action_log) ↓つながりを記録(03_ontology/relations) ↓Ontology全体を分析 ↓次のアクションを決める ↓実行 → 結果を記録 → またインプットへ ↓(ループ)自分の主要な考え方の軸と判断基準が言葉になっており、継続的に更新されている状態です。
-
Ontology-workspaceフォルダを自分のPCに作成した - 概念ファイルが5つ以上作成されている
- 概念同士のつながりが
links.jsonに記録されている - AIを使って自分の思考パターンを分析した記録がある
- 日々の意思決定の根拠を言葉にできる
- 次に学ぶ → S2:情報をまとめて使えるようにする(自分が定まって初めて、どこで戦うかが決まる)
- この軸のPhase 2 → S6:スタッフ管理をAIで行う